課題解決のためのカイギ術

リモート会議の生産性を上げるテクニック

リモート会議が新常態となった現代においては、動画・音声の特性を意識したコミュニケーションが求められます。しかし、そこには対面会議とは異なる新たな課題も存在します。本記事では、音声品質の確保、アイコンタクトの保ち方、画面共有やチャット機能の活用、そしてエモティコンの使い方など、リモート会議の生産性を高めるためのセオリー・具体的方法・テクニックをお伝えします。

リモート会議の生産性を上げるテクニック

1. 音声品質の確保とフィードバックの仕方

このセクションでは、音声品質の重要性とその確保のための最善の方法について説明します。具体的には、高品質なマイクの選択と設定、ノイズキャンセリング機能の活用、音声品質が悪いと感じた場合の適切なフィードバックの提供方法について説明します。

1.1 高品質なマイクの選定と音声設定の確認

リモート会議では、高品質な音声は必須です。これは、他の参加者があなたの話す内容を明確に理解できるようにするためです。高品質なマイクを選択することは、その第一歩となります。特に、ヘッドセットは、直接口元にマイクを持ってくることができるため、ノイズの影響を最小限に抑え、あなたの声を明瞭に伝えることができます。

マイクの音声設定も同様に重要です。コンピュータのマイク設定を確認し、必要なら調整してください。また、リモート会議アプリ自体が持っているマイク設定も確認し、最適な結果を得るように調整することが重要です。

1.2 ノイズキャンセリング機能の活用

背景ノイズは、リモート会議の音声品質を著しく低下させる可能性があります。そのため、ノイズキャンセリング機能を活用することを強くお勧めします。これは、特に開放的な環境や騒がしい家庭環境で作業している場合に有用です。

多くのヘッドセットやマイクには、バックグラウンドノイズを最小限に抑える機能が備わっています。また、多くのリモート会議アプリケーションでも、ノイズキャンセリング機能を提供しています。これらの機能を適切に使用することで、ノイズがあなたの音声を覆い隠すことなく、クリアなコミュニケーションを実現することができます。

1.3 音声品質が悪い人への適切なフィードバック方法

リモート会議に参加する全員が、自分の音声品質について常に意識しているわけではありません。そのため、ある参加者の音声品質が他の参加者の体験を阻害している場合、それを適切にフィードバックすることが重要です。

まず、可能な限り具体的で建設的なフィードバックを提供するように心掛けてください。たとえば、「あなたのマイクから背景ノイズが聞こえます。何か音を消す方法はありますか?」と提案すると良いでしょう。また、フィードバックは個別に、プライベートメッセージなどを使って行うと、受け取り手を公に恥ずかしめることなく、問題を解決することができます。

フィードバックを受け取った人が問題を解決できない場合、彼らに可能な解決策を提案することも重要です。たとえば、ヘッドセットを使用する、別のマイクに切り替える、ノイズキャンセリング機能を活用する、より静かな場所に移動するなどの提案をすることができます。

2. 効果的なアイコンタクトの保ち方

アイコンタクトは、リモート会議の生産性と効率性を向上させる重要な要素です。研究によると、アイコンタクトは相手との関係を構築し、互いに自信と親密さを感じさせるために重要です。しかし、ビデオ通話ではアイコンタクトを作るのが難しく、それが感情的な距離感や自己意識の高まりをもたらす可能性があります。このセクションでは、カメラ位置の調整、画面上の顔の位置への意識、適切な目線の維持と休憩の方法について説明します。

2.1 アイコンタクトしやすいカメラ位置の調整

リモート会議におけるアイコンタクトとそれによる表情の確認は、非常に重要な役割を果たします。それは、他の参加者とのコネクションを強化し、自己存在を確認するための重要な手段となります(参考記事:Deep Structures of Collaboration: Physiological Correlates of Collective Intelligence and Group Satisfaction)。しかし、リモート会議では、物理的な場所にいるわけではないため、アイコンタクトの保ち方は特別な配慮を必要とします。その第一歩は、カメラの位置の調整です。

カメラは、スクリーンの上部に位置していることが一般的です。これにより、あなたがスクリーンを見ているときに、他の参加者はあなたが直接彼らを見ていると感じます。ただし、カメラとスクリーンの距離が遠すぎると、目線が下向きに見えることがあります。これを防ぐためには、カメラを目線の高さに配置し、スクリーンとカメラの間の距離を最小限に保つことが重要です。

2.2 画面上の顔の位置への意識

リモート会議では、他の参加者の顔が画面のどこに表示されるかが重要です。特に、画面の下部に他の参加者の顔が表示されていると、自然に目線が下に向くことがあります。これは、他の参加者に対してあなたが彼らを見ていないと感じさせる可能性があります。

そのため、他の参加者の顔が画面の上部近くに表示されるように、ウィンドウのサイズや位置を調整することをお勧めします。これにより、あなたがスクリーンを見ているときに、他の参加者はあなたが直接彼らを見ていると感じることができます。

2.3 適切な目線の維持と休憩

リモート会議では、長時間にわたる目線の維持が求められますが、これは時には疲労を引き起こすことがあります。また、一方的な視線の維持は、相手に不快感を与える可能性があります(参考記事:Eye Contact in Video Communication: Experiences of Co-creating Relationships)。

適切なアイコンタクトを保つためには、あなたがスクリーンを見つめている時間と、目を離して休憩を取る時間をバランスよく取ることが重要です。特に、他の参加者が話しているときや、あなた自身が話しているときには、カメラに目を向けることを心掛けてください。これにより、あなたが他の参加者に注意を払っているという印象を与えることができます。

一方、他の参加者がスライドを共有しているときや、自分がノートを取っているときなど、目をスクリーンから離す必要がある場面もあります。そのような場合でも、できるだけ頻繁にカメラに目を戻すことを心掛けてください。

また、目の疲れを防ぐためには、定期的に画面から目を離し、視線をリセットする時間を設けることが有効です。これは、画面を見続けることによる眼精疲労を軽減し、集中力を維持するためにも重要な行動です。

3. 画面共有の活用

画面共有は、リモート会議で情報を共有する上で有効な手段です。しかし、使い方やタイミングを間違えると、会議の流れを阻害する可能性があります。このセクションでは、画面共有の最適なタイミングと手順、資料の表示方法と操作のコツ、画面共有中の会話の進め方について説明します。

3.1 画面共有のタイミングと手順

リモート会議における画面共有は、情報を視覚的に伝達し、理解を深める効果的な手段です。しかし、画面共有のタイミングと手順には注意が必要です。

画面共有を開始する最適なタイミングは、具体的な資料やデータを参照しながら説明を行う場面です。例えば、プレゼンテーションを行うとき、新たなプロジェクトの計画を共有するとき、重要なデータを解析するときなどが該当します。

手順としては、まず共有したいウィンドウやアプリケーションを開きます。そして、会議ソフトの「画面共有」や「デスクトップ共有」の機能を選択し、共有したい画面を選択します。なお、共有する前には、個人情報や関連性のないタブが表示されていないことを確認しましょう。

3.2 資料の表示方法と操作のコツ

画面共有を行うときの資料の表示方法と操作のコツについては、次のようなポイントがあります。

  • フルスクリーンモード:資料はフルスクリーンモードで表示することが一般的です。これにより、参加者は資料に集中しやすくなります。
  • ポインティング:資料内の重要なポイントは、マウスカーソルやドローイングツールを使用して強調すると良いです。ただし、必要以上にマウスを動かすと参加者が注意を散漫にする可能性があるので注意が必要です。
  • 参加者との呼吸:資料のページをめくるときや、新しい情報を表示するときは、一旦話を停止し、参加者が新たな情報を吸収する時間を確保すると良いです。

3.3 画面共有中の会話の進め方

画面共有中の会話の進め方は、リモート会議の成功に大きく影響します。まず、画面共有を始める前に、何を共有するのかを参加者に説明しましょう。これにより、参加者は何に注目すれば良いのかを理解できます。

画面共有中も、会話は積極的に進めていきましょう。参加者からの質問やフィードバックを随時受け付けるように心掛けると、参加者の理解度が高まり、より深い議論が生まれる可能性があります。

また、一方的なプレゼンテーションだけでなく、参加者が自分の画面を共有する機会を設けると、リモート会議がより対話的で協力的なものになります。これにより、各参加者が自分の視点や知識を共有し、全体の議論に対する理解を深めることが可能になります。

最後に、画面共有を終了するときは、参加者にその旨を伝え、共有した内容についての質問やコメントがないか確認しましょう。これにより、会議がスムーズに進行し、全ての参加者が必要な情報を得られることを確認できます。

4. チャット機能の効果的な利用

チャット機能は、リモート会議でのコミュニケーションを補完し、会議の効率性と生産性を向上させるツールです。このセクションでは、チャットでのコミュニケーションのルール、質問や意見の取り込み方、チャットのアーカイブと活用方法について説明します。

4.1 チャットでのコミュニケーションのルール

リモート会議におけるチャット機能は、音声や映像だけでは伝えにくい情報を補完し、コミュニケーションを円滑にする重要なツールです。しかし、効果的な利用のためには、以下のようなコミュニケーションのルールを設けることが有効です。

  • メッセージの明瞭性: メッセージは明確かつ簡潔にすることが重要です。誤解を生む可能性のある曖昧な表現は避けましょう。
  • プロフェッショナルな態度: チャットでは言葉のトーンが伝わりにくいため、プロフェッショナルな態度を保つことが重要です。親しみやすさを出すために絵文字を適度に使うのも有効ですが、適切な場面での使用を心掛けましょう。
  • チャットのタイミング: チャットは会話の邪魔をしないタイミングで利用することが求められます。特に、プレゼンテーション中などは、質問やコメントを適切なタイミングで行いましょう。

4.2 質問や意見の取り込み方

チャットは参加者からの質問や意見を取り込むのに非常に役立ちます。質問が投げかけられた場合、適切なタイミングでそれに対する回答を行い、会議の議論を深めることができます。また、投稿された意見を参照しながら、それに対するフィードバックを提供することで、より具体的な議論が可能になります。

マイクロソフトの研究によれば、リモート会議の多くは、画面上で並行してチャットができるからこそうまく機能し、それがなければ会議によってはまったく機能しないことがわかっています(参考記事:CHI 2021: Making remote and hybrid meetings work in the new future of work)。

重要なのは、チャットでの質問や意見が無視されないようにすることです。それらを定期的に確認し、必要に応じて議論に取り入れることが重要です。

4.3 チャットのアーカイブと活用方法

会議が終了した後も、チャットのアーカイブは価値のある情報源となります。それらは、議論の要約、行動の次のステップ、または未解決の問題点を特定するために利用することができます。チャットのアーカイブは会議の重要なポイントや意見、質問を記録するためのツールであり、その後の議論や行動計画のための情報源として活用することができます。

研究によると、チャットは参加者間のコミュニケーションを強化し、社会的な結びつきを促進することが示されています(参考文献:Managing everyday communication with strong, weak, and latent ties via WeChat: Availability, visibility, and reciprocal engagement)。特に、参加者がテキストベースのコミュニケーションに慣れている場合、チャットは参加者の関与を高め、意義ある対話を促進します​。

しかし、効果的にチャットのアーカイブを活用するためには、以下のような点を考慮することが重要です:

  • アーカイブの整理: チャットのアーカイブは多量の情報を含んでいる可能性があります。そのため、情報を効果的に活用するためには、整理と分類が必要です。重要なポイントやアイデア、質問をハイライトし、それらをテーマごとに分類することを考慮してみてください。
  • アーカイブのレビュー: 会議が終了した後、チャットのアーカイブをレビューし、重要な議論やアイデアを見つけ出すことが重要です。また、未解決の問題や次回の会議のアジェンダを特定するのにも役立ちます。
  • アーカイブの共有: チャットのアーカイブを全ての参加者と共有することで、会議の内容を再確認する機会を提供します。これにより、会議の目的と結果についての共通理解を促進し、次回の会議に向けての準備を支援します。

5. エモティコンやリアクション機能の使い方

リモート会議の成功は、コミュニケーションの技術と手法に大きく依存しています。その中でもエモティコンやリアクション機能は、非言語的な情報を伝えるための重要なツールとなります。

5.1 適切なエモティコンの選択とタイミング

エモティコンはチームとのつながりを深め、相手の感情を理解しやすくするツールです(参考記事:Using Emojis to Connect with Your Team)。しかし、異なる世代や文化の人々との間で、エモティコンの解釈は必ずしも一致しません。そのため、初めてエモティコンを使用する場合は、簡単なエモティコン(例えば、サムズアップなど)から始めることをお勧めします。

エモティコンの使用は、チームの雰囲気を読み取るための有用な方法でもあります。リモートの環境では、顔の表情や身体の言語を頼りにすることが難しくなりますが、エモティコンはこのギャップを埋めるのに役立ちます。

5.2 リアクション機能でのフィードバック表現

オンラインプレゼンテーションでは、視聴者からのフィードバックが限られてしまうため、視聴者との関係性を築くことやプレゼンテーション内容の適応が難しくなります。

Microsoft Teamsで開発された「AffectiveSpotlight」は、視聴者の顔の反応や頭の動きを分析し、最も表情豊かな人をダイナミックにスポットライトで照らすことで、この問題を解決しようとしています。

5.3 会議の雰囲気を和らげるエモティコンの活用

会議の開始時にエネルギー、感謝、感謝の気持ちを表現することは、よりポジティブな会議の雰囲気を作り出し、創造性、聞き取り、建設的な行動を促進することが研究で示されています。エモティコンはこのような感情を表現するための簡単で効果的な手段であり、会議の雰囲気を和らげるのに役立ちます。

また、エモティコンを適切に使用することで、リモート会議の質を向上させることが可能です。良いリモート会議と悪いリモート会議の違いは、新たなアイデアの発見か、コミュニケーションの崩壊かという重大な結果を生み出すことがあります。このような会議を円滑に進める技術は、チームや個人の会議の質を向上させるための重要なツールとなっています。

エモティコンやリアクション機能の使用は、リモート会議における効果的なコミュニケーションを促進します。それらは、チームとのつながりを強化し、感情を共有し、そしてより人間らしい会議体験を提供します。しかし、それらを効果的に使用するには、その文脈や文化的な意味を理解することが不可欠です。これらのツールを理解し、適切に使用することで、リモート会議はより効果的かつ生産的なものになるでしょう。

6. リモート会議の進行役を担当するときのコツ

リモート会議は、現代の働き方において欠かせないツールとなりました。しかし、その効率性と有益性は、進行役のスキルと能力に大いに依存します。以下では、リモート会議の進行役を担当する際のコツを詳しく探ります。

6.1 進行役の重要性と役割分担

リモート会議の進行役は、会議がスムーズに進行し、全ての参加者が資産的な対話を持つことを確保する非常に重要な役割を果たします。進行役は会議の全体的なフローを管理し、議題が正確に議論され、時間内に処理されることを確保します。

役割分担も重要な要素です。大規模な会議では、進行役は複数の役割を担うことが求められます。例えば、タイムキーパーは時間を管理し、テクニカルサポートは技術的な問題を解決し、ノートテイカーは会議の主要なポイントを記録します。これらの役割を明確にし、適切に分担することで、会議はより効果的に運営されます。

6.2 時間管理と議題の進行

時間管理は、進行役の最も重要な責任の一つです。適切な時間管理は、議題が予定通りに進行し、全ての参加者が意見を共有するための時間を持つことを確保します。

会議の開始前に、議題とそれぞれの議題に割り当てられる時間を明確にすることが重要です。また、途中で新たな議題が出てきた場合も、それが会議の全体的なスケジュールを乱すことがないように注意が必要です。

議題の進行については、進行役が主導的に行うべきです。それぞれの議題が適切な時間内に議論され、必要な決定がなされるようにガイドします。

6.3 参加者の意見や反応のフォロー

リモート会議では、参加者の反応を読むのが難しい場合があります。そのため、進行役は注意深く参加者の反応を観察し、必要に応じてフォローアップを行う必要があります。

特に、参加者からの質問や意見に対しては、適切な反応とフォローアップが必要です。これには、質問に対する明確な回答を提供する、意見に感謝する、またはさらに詳しく話を進めるためのフォローアップの質問を提供するなどが含まれます。

また、会議の進行中に参加者が静かである場合や、一部の参加者が会話を支配している場合は、進行役は積極的に参加を促すことが重要です。これには、静かな参加者に直接質問を投げかける、または議論を均等に分配するために会話の流れを制御するなどの戦略が必要となります。

リモート会議の進行役としての役割は容易ではないかもしれませんが、上記のコツを心に留めておけば、より効果的で生産的な会議を運営することが可能となります。

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