会議はなぜ脱線してしまうのか?脱線した会議を本題に戻すテクニック
会議に脱線はつきものですが、素早く本題に戻らなければ、参加者全員の時間を奪ってしまいます。この記事では、会議が脱線する理由を知識として押さえた上で、脱線から回復するための具体的なツール・テクニックを提供します。「パーキングロット」メソッドや「トピックバック」テクニックなど、脱線した会議を元に戻す具体的な手法を用いて、効果的で生産的な会議運営を目指しましょう。
目次
1. 会議が脱線する原因その1—参加者が脱線の原因となる場合
会議が脱線する原因の多くは、参加者にあります。参加者が会議の脱線を引き起こす可能性がある主な要因4つを見ていきます。
1.1 準備不足・前提知識不足
参加者が会議の内容や目標について十分な準備をしていない場合、会議はすぐに脱線します。
準備不足は、議論が基礎的な説明に費やされることを強いるか、または話題が理解できない参加者が話題を変えようとするか、両方につながる可能性があるためです。会議に必要な前提知識が不足している場合も同様です。
1.2 傾聴力の欠如
傾聴力の欠如もまた、会議が脱線する一因となります。
良い傾聴力を持つことは、他の人の意見を理解し、それに対して適切に反応するために不可欠です。この能力が欠けていると、重要な情報が見落とされ、誤解や混乱が生じ、会議が本筋から外れる可能性があります。
1.3 発言回避・責任回避
参加者が発言をしない・責任を回避する傾向が強い場合、会議が脱線する可能性が高まります。
発言を避ける人々の存在は、会議の場での意思決定を遅らせます。重要な決定を下すことを遅らせて責任を回避しようとする行為によって、会議が大きく脱線する可能性があります。
1.4 会議外で発生している対立や不和
参加者間で既に存在する対立や不和は、会議が脱線し、その生産性が低下する大きな要因となります。個々の対立は議題から注意をそらし、不和は開放的なコミュニケーションを阻害し、会議の進行を妨げる可能性があります。
2. 会議が脱線する原因その2—ファシリテーターが脱線の原因となる場合
ファシリテーターに会議が脱線する原因がある場合、軌道修正は難しいものになります。次の3つのポイントは、ファシリテーターが会議の脱線を招く可能性がある主な要因です。
2.1 不明確な目標とアジェンダ設定
会議が脱線する一つ目の原因は、不明確な目標とアジェンダ設定です。会議の目的が明確でないと、参加者は議論が何に焦点を当てるべきか、そしてその結果何を達成すべきかを理解することが難しくなります。これは極めてクリティカルな脱線原因になります。
また、具体的で明確なアジェンダが設定されていなければ、会議は方向性を失い、会話が本題から離れてしまう可能性が高まります。
2.2 時間管理の不足
二つ目の問題は時間管理の不足です。会議のアジェンダを立てるだけでなく、それぞれの議題に割り当てられた時間を厳守することも重要です。
時間管理を怠ると、特定のトピックに時間が過度に費やされ、他の重要な議題が疎かになり、会議全体が脱線する可能性があります。
2.3 ファシリテーションの技術不足
三つ目の要因は、ファシリテーションの技術不足です。会議の成功はファシリテーターのスキルにも依存します。
ファシリテーターが議論を適切にガイドしたり、参加者の発言をまとめたり、沈黙を適切に埋めたり、矛盾や衝突をうまく解決したりする能力が不足していると、会議は脱線しやすくなります。
これらの問題を認識し、適切な準備と技術を用いることで、ファシリテーターは会議が脱線するのを効果的に防ぐことができます。
3. 脱線した会議を元に戻す具体的なファシリテーションテクニック
会議が脱線した場合でも、適切な手法を用いれば元の軌道に戻すことが可能です。以下に、そのような具体的なファシリテーションテクニックをいくつか紹介します。
3.1 「パーキングロット」メソッドの活用
「パーキングロット」メソッドは、会議で生じる脱線を制御するのに非常に効果的なテクニックです。これは、関連性の低い、またはその時点では解決できないトピックを「駐車」して後で取り組むというものです。
具体的には、ファシリテーターが発言者に「それは重要なポイントですが、今の議題からは外れているようです。それをパーキングロットに移しましょう」と説明します。そして、そのトピックを記録し、会議の終了時にそれを再訪するか、別の会議でそれを議論するかを決定します。これにより、会議は本筋を外れずに進行できます。
3.2 「トピックバック」テクニックの活用
「トピックバック」は、話が脱線した際に議論を元の話題に戻すテクニックです。ファシリテーターは「すみませんが、私たちは元の話題に戻りましょう」と簡単に提案します。また、ファシリテーターは話題が変わる前に議論されていたポイントを繰り返し、すぐに会議の焦点を元の議題に戻すこともできます。
3.3 アクティブリスニングの導入
アクティブリスニングは、ファシリテーターが参加者の言葉を再度言い換えることで、議論が理解され、重要なポイントが取り逃がされないようにする技術です。
これにより、ファシリテーターは全員が話題を理解し、会議が本筋を保つことを確認できます。これは、特に技術的な話題や複雑な議論が行われている場合に有用です。
3.4 時間と議題の再調整
会議が脱線した場合、必要に応じて時間と議題を再調整することが必要です。
これは、ファシリテーターが会議の残り時間と残りの議題を見直し、どの議題にどれだけの時間を割くべきかを再評価することを意味します。これにより、会議は目標を達成するためのパスを見つけることができます。
4. まとめ 脱線しない効率的な会議を運営するために必要なこと
脱線しない効率的な会議を実施するためには、参加者とファシリテーターの役割理解と実践、そして双方のフィードバックと改善が不可欠です。
4.1 まずは参加者が責任を自覚する
「会議の進行はファシリテーター次第」と言われることは多いですが、参加者こそが、会議の効果を最大化するための主要な役割を果たすべき存在であると考えます。
会議前にアジェンダや必要な資料を確認し、自分が発言すべきポイントを整理することは、ファシリテーターに言われたからやるのではなく、参加者が自発的に準備として行っておくべきです。
準備をした上で「この会議に自分は必要なのか?」という疑問を持ったのであれば、人選したファシリテーターに、会議の前にそのことをフィードバックし、出席を辞退すべきでしょう。「本当は自分は必要ないのに、会議に時間ばかり取られるなあ」と不満を抱えたまま会議に出ても、参加者にとって生産的な時間にならないばかりか、会議体にとっても何の役にも立たない人材になってしまうからです。
逆に、準備を整え参加意欲も十分であれば、他の参加者の意見も自然に傾聴し、尊重することができるようになります。それによって互いの理解を深め、 生産的な議論が可能になります。
4.2 ファシリテーターが役割を果たす
ファシリテーターは、参加者のクリエイティブな意思決定をサポートする役割として、会議の目標を明確に設定し、適切なアジェンダを作成し、会議が時間内に終わるようにしなければなりません。
この記事で見てきたように、人数が集まれば会議はどうしても脱線しがちです。その時こそ、ファシリテーターにしかできない役割意識を発揮すべき時です。ファシリテーターは、会議が脱線したときにそれを元に戻す方法を理解し、実践することが求められます。「パーキングロット」メソッドや「トピックバック」テクニックなどのテクニックを使うことで、議論を制御し、目標に沿った会議を進行しましょう。
4.3ファシリテーターと参加者が双方でフィードバックする
会議の効率を改善するためにも、参加者とファシリテーターが率直にフィードバックを交換し、必要な改善点を明らかにすることが重要です。
ファシリテーターは、会議が終わった後に参加者フィードバックを集め、参加者もそれに応えて意見を交換し、次回の会議を改善することで、会議はより効率的で生産的になります。