課題解決のためのカイギ術

#会議潜入 アライドアーキテクツ株式会社 echoes事業部 事業部長の井出氏が語る ワンチームで事業課題を解決する会議術。

会社の規模が大きくなるほど会議は増え、それが本当に必要なものなのか、そうでないものなのかを判断するのが難しくなっていきます。最近は気軽にオンライン会議をできるようになり便利な反面、時間を余計に費やしているケースもありそうです。

そんな中、企業のマーケティングDXを支援しているアライドアーキテクツはどんな会議術を駆使しているのでしょうか。SNSプロモーションを支援するechoes事業部 事業部長の井出氏にお話を伺いました。

増え続ける会議に、生産性を意識した工夫

-橘:はじめに井出さんのプロフィールと事業概要について軽くご紹介をお願いします。

井出:僕はアライドアーキテクツが一軒家のオフィスだった“ド”ベンチャーの頃に入社して、今年で15年目です。Webディレクション、プロジェクトマネジメントの経験を活かし、現在はSNSを使った企業のプロモーション支援を行うechoes事業部を管轄しています。

事業で必要になる職種ほぼ全てを1つの部署でまかなっているので、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、エンジニアの他、大手企業の既存顧客に特化したアカウントプランナーのような人材もいます。サービス開発するエンジニアは国内外にいて、都度やりとりしながら進めていますし、私自身はehocesが属するプロダクトカンパニーの副カンパニー長を兼任していることもあって、参加している会議はそれなりに多いですね。

-会社全体における共通の価値観やカルチャー、強みなどはありますか。

井出:共通の価値観で言えば、「創って作って売る」という点です。2015年ごろに会社の業績が悪化して、その後1年で国内事業をV字回復させた時期があったのですが、そのV字回復を支えたのが「創って作って売る」、つまりは顧客が求めるものを創り(開発)、作り(製造)、売る(販売)サイクルを組織として迅速にしなければいけない」という考え方でした。それがあったからこそ今があるので、会社の価値観として浸透している部分なのかなと感じます。

強みとしては、システム開発からマーケティング支援まで横断的に手がけているので多様なロールや人材がおり、ワンチームで一気通貫で顧客支援ができることです。独自のSaaSを活用するだけでなく、広告代理店や制作会社のような動きもできることです。

専門性の高いマーケティング領域にしっかりプロダクトを投入して、その上にソリューションを構築していくことで、一般の広告代理店では難しい高いパフォーマンスや付加価値を出せるところがあると思っています。

加えて先ほどお話しした「創って作って売る」カルチャーがあります。日進月歩で進化し続けているデジタルマーケティングの世界でスピーディーにPoC(概念実証)を展開し、そこで出てきた新たな価値を顧客のマーケティング成果に転換し、僕らの売り上げにも転換する。そこを泥臭くやっていくカルチャー、ケイパビリティをもっているのも強みだと感じます。

-参加している会議が多いとのことですが、定例会議に絞るとどれくらいの数になりますか。また、井出さんが出席する・しない会議の基準はありますか。

井出:朝会を除けば、定例的に実施している会議は事業部で計20個くらいでしょうか。チームの会議やプロジェクトメンバーで集まる会議、マネジメントの会議、開発メンバーの会議などがあり、そのうち僕が出席しているのは10個くらいです。開発系とビジネス系を横断するもの、マネジメントに関わるものには出ていて、チームの会議でもマネージャーに任せているものには出席していません。

これだけ会議が増えてくると、生産性には気をつけるようになってきます。アジェンダは事前に作ってメンバーに伝えておくことだったり、議事録を作ってToDoの整理とネクストアクションの割り振りをして終えようとか、そのあたりは工夫しています。

対面でないと深掘れない、あるいは深掘るコストが高くなることも

-必要な会議とそうでない会議を決める、いわゆる棚卸しはどのようにされていますか。

井出:四半期の頭に判断して、統合したり、廃止したり、必要に応じて新しい会議を追加したりしています。その判断がしやすいように、僕の事業部では会議のオーナーシップを取るのは誰か、何が目的の会議なのか、ディスカッションなのか報告なのか情報共有なのか、それ以外にも出席者や、開催の頻度と曜日・時間、オンライン・オフラインの種別、細かいアジェンダなどもスプレッドシートで可視化しています。

アライドアーキテクツ株式会社
プロダクトカンパニー 副カンパニー長 兼 echoes事業部長 井出修二朗氏

-それらの情報を常に整理しておくのは大変そうに思いますが、そこからどんな会議は廃止しようとなるのか、もしくは参加者数を減らそうとなるのか、棚卸しの秘訣みたいなところを伺いたいです。

井出:会議の統廃合については、会社やプロジェクトの戦略に沿って滞りなく進められるかという視点で会議体を設計すべきだと思っています。四半期や半期、年間での戦略だけでなく、目標管理として採用しているOKR(オブジェクティブ・キー・リザルト)の遂行も考慮して会議体を置く、といった考え方にしています。棚卸しするたびに、だいたい3割ほどが統廃合することになる感じでしょうか。

-最近だと情報共有のための会議はSlackのようなチャットツールで、という会社も多くなっています。

井出:そうですね。テレワークがメインなのでリモートでコミュニケーションすることも多く、MetaのWorkplaceをメインに、Slackも併用して情報共有しています。ただ、対面で会議しないと深掘りができなかったり、深掘りをするコストが高くなってしまったりすることが懸念としてあるため、週2回は出社する決まりにして、そのタイミングで報告と情報共有を目的とした会議を開いたりもしています。とはいいつつも、やはりWeb会議ツールで顔を突き合わせることも多いですね。

-会議をオンライン・オフラインのどちらにするか、というのはどういう基準で決めているのでしょう。

井出:マネジメントメンバーとの会議や、事業部の重要な会議は対面で実施するようにしています。他のチーム単位での定例会議や、逆に事業部全員が出席する会議などに関しては、業務委託の人やリモートの人のことも考えてオンラインにすることが多いです。

-echoesの重要戦略を決めるときなど、意志決定のための会議はどのように実行していますか。

井出:意志決定の際には、客観的なデータで判断するパターンと、会議で現場の皆と話し合って決める両方のパターンがあります。定量的なデータは大事なので、僕自身が毎週集計して見ているデータもあります。それを使いつつ、定性的な情報は現場にしかないので、現場のマネージャーと会議で会話しつつ、総合的に判断することもあります。

事業上の重要戦略はもちろん僕が判断しますし、事業部横断的なプロジェクトについてはその上のカンパニーレイヤーで決める形にはなっていますが、そのうえで事業のフェーズが進んでいくにつれボトムアップでの意思決定を増やしていますね。

議事録の閲覧権限や情報の散在に課題感

-少し話が変わりますが、議事録はどのように作成されていますか。

井出:ケースバイケースですが、プロジェクト絡みの場合はGoogleドキュメントが多いですね。マネージャー会議のような報告系の会議では、以前の会議で誰が何を報告したかを一覧性を持って管理したいのでスプレッドシートを使います。会議をする以上は必ず議事録を残すようにしていますね。

-自分が参加しなかった会議についても確認したくなることがあると思うのですが、会議議事録のオープン化は進んでいますか。

井出:共有設定で他の人に公開することもできますが、それでも検索しにくい問題は残りますよね。誰かに教えてもらわないと行き着けなかったりして、探す労力がかなりかかっている気がします。Googleドキュメントだと共有するときの権限が細かく設定できず、全社員に公開するしかなくて、使用方法に悩んでいる点はあります。。

情報共有用のツールにはGoogleを使うこともあれば、チームによってはNotionを使ったり、Backlogのような進捗管理ツール内のWikiを使っていたりと、情報が散在しているのも課題です。その意味では権限周りを細かく制御でき、情報の集約も可能なMeetingBaseは期待できそうです。

-最後に、echoes事業あるいは組織全体の将来の展望について教えてください。

井出:事業に関して言うと、これまで約5年間進めてきたブランド中心のSNSマーケティングについては土台ができ、お客様にもご満足いただけるようになってきました。次は小売のマーケティング課題にもさらに切り込んでいきたいと考えています。

例を挙げると、ECだとオンライン上で集客して接客するわかりやすい形で完結しますが、購買チャネルが店頭(オフライン)の領域でSNSなどのオンライン側から成果を出すためには、企業間や、顧客社内の部門間の壁がかなりあるんですよね。そうした領域における課題解決を、僕らが5年間で培ってきたプロダクトやソリューション資産を活かして切り込んでいければと考えています。

組織に関しては、トップダウンでやってきた立ち上げ時期を超えて、この5年でかなりボトムアップになってきました。今はいわゆる組織モデルでいう「オレンジ(達成型)組織」のあたりにいると思うんですけども、より「グリーン(多元型)組織」に近づいて、メンバーが高度な意思決定をできるようになる、というのが現時点での目指すところです。

この組織形態においては、いかに事業課題をワンチームでスピード解決するかが重要なので、MeetingBaseのようなツールを活用しながら業務の効率化を図っていくことも僕の役割の一つかなと考えています。

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