課題解決のためのカイギ術

#会議潜入 BASE株式会社の法務・総務・ガバナンスを担う執行役員大貫 俊介氏が語るバックオフィス会議術とは。

今回はBASE株式会社のコーポレート部門において法務・総務・ガバナンスを推進する執行役員 大貫 俊介氏に、BASE流会議術をインタビューし、BASEの強さに迫りました。

注:前MeetingBase事業責任者の橘とBASE株式会社大貫氏は共に海外旅行を行くなどの友人関係。

会社全体で実施している会議施策「OKR」の実態とは

‐本日は改めてよろしくお願いいたします。本日は会議を通してBASE社ならではの会社の強さに迫っていきたいと考えております。

大貫:よろしくお願いいたします。

‐まずは、大貫さんは現在どういったポジションでお仕事をされてらっしゃるかご説明ください。

大貫:はい。現在私はコーポレート部門に所属しており、執行役員として法務に加えて、総務を兼任して管轄しています。
私の上長に取締役CFOが直接いる組織設計にしております。コーポレートはいわゆる管理部門ですが、ファイナンス、経理、財務、IR、法務、総務、ガバナンス、広報が紐づいており、私の管轄は法務、総務、ガバナンスでメンバーは15程度で構成されています。

‐ありがとうございます。まさにバックオフィスを横断的に管轄されている大貫さんに、バックオフィス特有の会議術がないかを聞いていきたいと考えております。現在はどのような会議体に出席されてますか?

大貫:私が参加している定例会議は、全部で5つになります。
法務定例、総務定例、債権回収定例、コーポレート部署のマネージャーが横断で出席している定例会議、そして直属の上長である取締役CFOとの1on1の定例です。あとは部署のマネージャーとの1on1ミーティングを適宜実施している状況です。

‐その1on1では具体的にどのような議題が話されているのですか?

大貫:そうですね。上長である取締役との1on1では、基本的にキャリア相談のような1on1ミーティングではなく、重要戦略や施策の進捗報告や方針のすり合わせといった議題・議論が主になっております。

一方で直属の法務マネージャーや総務マネージャーとの1on1ミーティングではキャリア相談も含みながら実施しております。

‐定例会議のタイムマネジメントとして定例時間はどのくらいに設計していますか?

大貫:基本的には30分間で実施しています。理由としては元々1時間で定例を実施していましたが、1時間に合わせて議論すると間延びする傾向があり、会社全体の方針としても無意味に1時間に設定せずに事前準備をより最適化する前提で30分にしようという方針が示され、自分自身もその方針通りに設計しております。

‐ありがとうございます。定例会議以外のスポットでのミーティング比率はいかがですか?自分自身もサイバーエージェントでバックオフィス経験があるため、法務などは緊急時にすぐに対応できる体制も重要だと考えています。

大貫:定例以外は週1・2回の頻度ですね。それ以外にスポットで法務関連の相談ミーティングが入る場合もありますが、基本的には法務マネージャーやメンバーが参加しているため、私自身が入らないこともあり、自分自身はマネジメントに特化した定例会議の参加比率が多くなりがちです。

逆に法務のメンバーは事業部とのスポットミーティングが多い傾向にあり、どの会社もバックオフィス所属の人はそのような比率になるのではないでしょうか。

‐専門職としての質問に移っていきたいと思います。法務定例では具体的にどういった議題が多いのでしょうか。

大貫:これはBASE社特有かもしれませんが、議事録の一番最初に必ずOKR(Objectives and Key Results  注:目標と主要な結果)を記載していることが特徴です。現在OKRは会社全体で意識的に実施しています。

OKRのベースは日々進化していて、最近事業部側でも部署横断でOKRを定義するなど、会社一丸となって組織的一体性を保てるような運用で実施していたりもします。

コーポレート部門でもOKRは「この四半期で特に注力すること」を意識付けて定めるようにしています。しかしながら当然、OKRで設定した重要性が高い案件以外にも多くの定常業務が発生する傾向がありますので、工夫する必要があると考えています。OKRに直接関連しなくても会社が成り立つために必要な案件も日々発生しますし。

また、事業部についてはコーポレート部門とは別のOKRを持っているのですが、これは注力することがブレないようにするための手段として設定するようにしています。

少し話が逸れてしまうのですが、現在、会社全体でアセットやナレッジのドキュメント化プロジェクトが走ってます。コーポレート部門でも法務で率先して実施しています。Notionで管理しており、法務案件ごとにまとめあげ、法務機能の概要やスケジュール等を一元化し、入社した直後の人も過去の法務ナレッジにアクセスできるようにすることで、これまでの判断を資産化できるように取り組みを強化しています。

‐それは壮大なプロジェクトですごいですね。他社の法務の方もナレッジ化には課題があるので参考になると思います。会社全体のドキュメントプロジェクトというのはどのようなものなのでしょうか。

大貫:会社全体のドキュメントプロジェクトが始まったきっかけは、新たに入社した他部署のメンバーがドキュメント管理をnotionで実行したいと高い熱量でプロジェクト化してくれたことがきっかけでした。まずはBASE事業部内で徐々に浸透していったのですが、その動きを見て、是非法務チームでも実行したいと私が賛同して進めていった背景があります。

これはナレッジ化するための重要な施策です。ナレッジを溜めてミーティングの最後に、次回定例までのタスクを箇条書きで記載し、次回定例にて確認し、更新することを繰り返しています。

ナレッジの集約とタスク管理、ステータスが全部一括管理できるようにしているのもBASE社の特徴で、今後強みへと変わっていくのかもしれません。併せて期日なども議事録に追記し、情報をストックしていくことに注力しています。

新入社員にも便利なプロセスのナレッジ化

‐入社した方もかなり便利であり、会社の意思決定プロセスが全てナレッジ化していく。まさにMeetingBaseで実現したい未来でもあります。
ちなみに新入社員の方が入社した際、社員が閲覧できるポータルサイトのような存在は用意していますか?Slackなどのチャットベースだとフローで流れていってしまうので、ナレッジ化する課題感は感じていまして。

大貫:はい。それもBASEでは用意しています。Notionで会社生活に必要な情報をまとめたwikiのようなドキュメントも一元化してますし、その他にも社員の自己紹介が閲覧できるページもあります。

更にタグをつけて検索できるようになっていて、例えば「#ラーメン」のタグをクリックすれば社内のラーメン好きな人など、趣味の一致軸で社員を探せたり、「#事業企画」のように職種軸でのマッチングができるようにと、自己紹介にタグをつける運用で設計されています。社内ポータルサイトとしてかなり充実していて、自分も仕事を進める上で、毎日確認したりしていますね。

‐(少しポータルサイトを見せてもらいながら)すごいですね。かなり作り込まれて感心しました。そのほかには社内報の運用も気になります。

大貫:それも近しいものはありまして、月に1回広報が役員に対してインタビューを実施し、経営メッセージを掲載するようにしていたり、他にも事業部のTopicなどを定期的に配信したりと会社の情報流通がオープンにされているのが当社の特徴だと思います。

‐MeetingBaseの課題感としては、上層部の会議のオープン化に対してこだわっています。自社の意思決定がどのようにして決定されているかを知れば、会社はもっと実行力が増すはずだからです。それを支えるMeetingBaseでありたく。

大貫:BASEはそこも一貫しており、経営層の議事録も全てオープン化する方針で運用されており、経営会議の議事録なども全社員が閲覧できるようになっています。実際に多くの社員がよく確認しているので、うまく会社の強みに転換している手応えを感じています。

この背景には社員の人数もかなり増えてきて、経営層がどういった議論で意思決定しているのかをできる限りオープン化できるようにして、会社の一体感を強くしていこうという思いがあります。

‐あとBASEで特徴的だなと思ったのがSlackの運用です。弁護士ドットコムのSlackでは基本顔と本名は必須にしているのですが、BASEではハンドルネームやアイコンも自由に設定している点です。

大貫:そうですね。Slackネームも自分が定めた好きなニックネームで設定していたり、アイコンを自作のイラストにしてる人がいたり、実際に多くの社員がハンドルネーム、ニックネームで登録し呼び合っています。

‐かなり珍しく感じます。認識できず、苦労することもないですか?

大貫:もちろんそれはHRデータベースが充実しているので検索したら分かりますが、本名とSlackのハンドルネームが一致しないこともあったりはします。逆に本名をすぐに思い出せないときもあったりはしますが、それも含めてカルチャーとして受け入れられていますね。

会議の意思決定のメカニズムについて

‐話を少し変えます。会議はそもそも決定に至るための議論の場という局面が多いと考えていますが、大貫さんの意思決定するメカニズムを知ってみたいです。

大貫:基本的には自分が意思決定をしていることが多いです。基準はうまく言語化してませんが、上長に相談したほうがよさそうな案件は、1on1で確認を取るなど、自分以外の人の視点を入れるために適切に相談するのが自分の基本ポリシーかもしれません。

‐確かに法務部門は合議プロセスというよりは、どちらかというとパートナーとのアソシエイトといったイメージで仕事を進めるのが実際的ですね。事業部だとエンジニアの方やデザイナーの方の意見だったり合議して決定することがよくあるのですが、それとはまた少し違うように感じました。

大貫:そうですね。それでいうと事業部からの相談で例えばキャンペーン施策だったりLPの表現だったりと微妙な判断が求められる場合には合議をすることもありますが、他部署のマネジメントが介入して合議というプロセス過程はあまりないと思います。

‐他の会社に比べての、BASE流の強さの秘訣は何だと思いますか?意思決定プロセスや会社の社風も、結局はそれを商品に宿らせ、顧客から支持を集められる強さにまで昇華しなければ価値が生まれません。

大貫:全社を通じて、企業ミッションに対する共感性の高さが前提にあることだと思います。そのうえで基本的なポリシーとして「一定の自由さ」が企業文化として存在していることが強みだと思います。


BASE社では「Payment to the People, Power to the People.」という企業ミッションを掲げているのですが、人々をエンパワーする事業・サービスを提供することだったり、それを加速する経営体制の構築だったり、それは社員1人1人が自律していなければ実現できないことです。それゆえに高い自律性が尊重され、「一定の自由さ」が存在し、意思決定もスピーディーに機動力高く実行することができます。

自由を阻害するマネジメントもないので、本当に自律性高い組織が出来上がっていると自負しています。

‐ありがとうございます。最後に、今後どういったチームや組織にしていきたいと願っていますか。

大貫:基本的にはBASE全体がそうであるように、自分が管掌する部門もフラットなチームでありたいと考えています。

BASE社には行動指針のひとつに「Speak Openly(率直に話すこと)」があるのですが、ディスカッションでも遠慮せずに発言できるチームを作り上げていきたい想いがあります。もちろん現在もフラットな組織であると考えていますが、「Speak Openly」であってもメンバーみんながお互いの関係性の維持を信じ合える組織を作り上げていきたいです。

私自身1人の知見で何かを圧倒的に実現できるわけでもありませんので積極的にフラットに発言できる組織を作ることによって、強い組織を作り上げていきたいと考えています。

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