上司に褒められる議事録の書き方と例文集
議事録作成の成功の鍵は、準備と構造化にあります。当記事では、会議前の下準備から主要な要素の整理、視覚的情報の効果的活用、上司に褒められる例文集まで、ステップバイステップで議事録作成のノウハウを解説。最終確認のポイントもお伝えします。議事録での評価アップを目指しましょう
1. 議事録作成前の準備
役に立つ議事録を作成し、上司からも認められるためには、事前準備が非常に重要です。ここでは、議事録作成前に行うべき4つのステップをご紹介します。
1.1 会議の基本情報を事前収集
会議に臨む前には、その背景や目的、参加者、開催日時、場所などの基本情報を把握します。これにより、議事録のヘッダー部分の記述がスムーズになり、会議の流れを把握できます。
具体的には、以下の情報を事前に取得しておくと良いでしょう。
- 会議のテーマや目的
- 参加予定者のリスト
- 会議の日時と場所
- 事前に共有されている資料やアジェンダ
これらの情報は、会議招集者や秘書、事務局などから直接取得するか、関連のEメールや文書をチェックすることで知ることができます。
1.2 議事録の当社標準フォーマットを入手
多くの企業や組織には、議事録の標準フォーマットやテンプレートが存在します。この標準フォーマットを使用することで、議事録の統一感が生まれ、情報を探す際の手間も減少します。
事前に当社の標準フォーマットを入手し、そのフォーマットに従って議事録を記載することで、読み手にとってわかりやすい文書を作成することが可能です。フォーマットがわからない場合は、関連部署や上司に確認するのが良いでしょう。
1.3 過去の議事録をチェック
過去の議事録を参照することで、以前どのような議論がされたのか、どのような点が重視されたのかを把握することができます。特に定例会や継続的なプロジェクトの場合、前回の議事録が今回の会議の基盤となることも多いです。
過去の議事録をチェックする際には、次のようなポイントに注意してください。
- 前回の会議での決定事項やアクションプラン
- 議論の流れや結論
- 特に重要視されたトピックや議題
これらの情報を元に、新たな議事録作成時に過去の内容を適切にリンクさせることが可能となります。
1.4 上司が好む議事録のスタイルを先輩社員に確認
最後に、上司や決裁者がどのようなスタイルの議事録を好むのかを、経験豊富な先輩社員に確認してみるのも一つの方法です。これにより、議事録がスムーズに承認される可能性が高まります。
具体的には、以下の点を先輩に質問してみましょう。
- 議事録の詳細度や情報の整理方法
- どのような点を特に重視するか
- 過去の議事録での改善点やフィードバック
先輩の経験やアドバイスを元に、より質の高い議事録を作成することができます。
2. 議事録の主要な要素
議事録は会議の流れや結果を整理・記録するための文書であり、その効果的な作成にはいくつかの主要な要素が必要です。このセクションでは、効果的な議事録を書くための3つの主要な要素を取り上げ、その詳細とポイントについて解説します。
2.1 会議の目的の明確化
会議の目的を明確にすることは、議事録の骨子を作成する上で最も基本的な要素です。目的が不明確な場合、議事録もふわっとした内容になり、後日参照した際にその会議の意義や必要性が伝わらない恐れがあります。
会議の目的を明確に記載するためには、具体的・簡潔・焦点を絞った内容にすることが求められます。
❌「プロジェクトの進捗を確認する」
ではなく、
⭕️「プロジェクトX第3フェーズの完了予定日に向け、遅延リスクの把握と共有のため、責任者Aから懸念事項を3点報告する」
のように具体的に、 無駄な言葉を省き、会議の主要な焦点やキーポイントを強調して記載します。
2.2 5W1Hを活用した情報の整理
議事録を整理・記述する際の有効な手法として「5W1H」があります。それは「Who(誰が)、What(何を)、Where(どこで)、When(いつ)、Why(なぜ)、How(どのように)」の頭文字を取ったもので、情報を整理する際のフレームワークとして利用されます。
5W1Hを使用することで、議事録が以下のような利点を持ちます。
- 情報の漏れを防ぐ: すべての基本情報をカバーするため、情報の漏れが少なくなります。
- 読み手の理解を助ける: 情報が整然としているため、読み手が情報を迅速に把握できます。
- 情報の優先度を明確に: 何が主要な情報で、何が補足的な情報かがわかりやすくなります。
2.3 数字や重要な日程の正確な記載
議事録において、数字や日程は非常に重要な情報となります。誤った数字や日程を記載してしまうと、後の業務に大きな影響を及ぼす恐れがあるため、最も注意を要する部分です。
以下の点に注意して、数字や日程を記載するようにしましょう。
- ダブルチェック: 一度書き終えたら、必ずもう一度数字や日程を確認する。
- 具体的な単位の使用: 「数ヶ月後」ではなく「3ヶ月後」と具体的な数字を使用する。
- 参考資料の添付: 複雑な数字や日程が出てきた場合、その情報源となる資料や資料の場所を記載する。
これらの要素を意識しながら議事録を作成することで、後日の参照や情報共有が非常に効果的に行えるようになります。
3. テキスト以外の情報の活用
議事録はテキスト情報だけでなく、多岐にわたる情報を効果的に記録・共有するためのツールとして使われます。このセクションでは、テキスト以外の情報の活用方法とその効果について考察します。
3.1 視覚的な情報の追加(写真や図)
人は視覚的な情報を非常に高速に処理する能力を持っています。この特性を利用して、議事録に写真や図を組み込むことで、内容の理解を深めることができます。
- 写真: 会議中に使用された資料やホワイトボードの内容、場の雰囲気を伝えるための写真などは、議事録の中で強力な情報として機能します。
- 図: 複雑なデータや流れを簡潔に示すためには、グラフやフローチャートの利用が効果的です。これにより、テキストだけでは伝えきれない情報を簡潔に表現することができます。
写真や図はあくまで補完的な情報であり、メインのテキスト内容を分かりやすくするためのものであることを忘れないようにしましょう。画像のサイズや解像度に気を付け、議事録全体のファイルサイズが大きすぎないように調整が必要です。
3.2 Webリンクの共有
今日のデジタル時代において、Webリンクの共有は情報伝達の大きな武器となります。議事録内で関連するWebページや資料へのリンクを含めることで、詳細情報へのアクセスが一瞬で可能となります。
Webリンクを共有する際は、 関連する全員がアクセスできるページか、権限などが必要なページかを明記し、期限付きのページや、後日削除される可能性のあるページへのリンクは、注意書きを添えます。
3.3 ボイスレコーダーの活用
テキストや写真だけでは伝えきれない情報や、会議の雰囲気を記録するために、ボイスレコーダーの活用は非常に効果的です。特に重要なポイントや、感情的なやり取りを後から確認する際には、音声情報が役立ちます。
録音は、会議の参加者から許可を得た上で行います。質の良いレコーダーを使用するのは当然のこと、長時間となる場合は特に重要な部分だけをピックアップして保存するか、動画にタイムスタンプをつけるなどの工夫が求められます。
4. 上司に褒められる議事録の例文
優れた議事録は、情報の整理や内容の正確さだけでなく、言葉選びや表現方法にもこだわりがあります。このセクションでは、議事録を書く際の具体的な例文を紹介します。これらの例文を基に、より洗練された議事録を作成することが可能です。
4.1 基本情報の例文
議事録の冒頭部分には、会議の基本的な情報を明記します。以下は、そのサンプルフォーマットです。
開催日時: 2023年8月23日(水) 14:00~15:00 場所: 本社 5階ミーティングルームA 出席者: 甲野花子(営業本部長)、山田太郎(営業部長)、鈴木愛子(企画室長)、中村一郎(技術部長) 議事録:佐藤議事子(企画室) 議題: 第2四半期の販売戦略に関する検討
なお、会議の中で議題が複数扱う場合には、
議題1「タイトル1」 決定事項: 議論内容: 議題2「タイトル2」 決定事項: 議論内容: 議題3「タイトル3」 決定事項: 議論内容:
のように、議題ごとに整理すると、後から検索・参照しやすくなります。
4.2 会議の進行と決定事項の例文
会議の進行や決定事項を簡潔かつ明確に記述することが求められます。以下はそのための例文です。
決定事項: 新商品「ABC」の地域Yでの拡大展開を、2023年12月末日までに開始することを異議なく承認。 議論内容: 山田: 昨年度同期比での売上は10%増。特に地域Xの売上が好調で、新商品「ABC」の影響が大きいと推測している。 鈴木: 次四半期には、地域YにもABCを拡大展開してはどうか。
4.3 議論の要約と結論の例文
会議の中での議論や意見交換は、議事録において重要な部分を占めます。しかし、全ての発言をそのまま記録するのではなく、要点をまとめて記述することが重要です。以下はそのための例文です。
決定事項: 新商品「EFG」の地域Zでの展開は、即時開始とする。 議論内容: 地域Zにおける新商品「EFG」の拡大展開について、営業部は即時展開を、企画部は準備期間を設けての展開を主張。 技術部としては、EFGの生産体制は既に整っており、即時展開も可能であるとの見解。現時点での生産可能台数について、資料1〜3を配布して説明。
5. 議事録の確認と修正
議事録は会議の内容を記録し、後から確認する際の重要な参考資料となります。そのため、作成後に適切な確認と修正を行うことが不可欠です。このセクションでは、議事録の確認と修正のポイントを詳しく解説します。
5.1 同席メンバーとの内容確認
議事録の最も重要なポイントは、内容の正確性です。記録された内容に誤解や不足があれば、後の作業や意思決定に支障が出る可能性があります。
- 内容の完全性: 会議で取り上げられた全ての点が網羅されているか、特に重要な議題や意見が欠落していないかをチェックします。
- 正確性の確認: 出席者の発言や意見、提案されたアイディアなどが正確に記述されているかを確認します。この際、発言者自身や周辺の出席者に内容を確認することで、誤解や誤記を防ぐことができます。
- フィードバック: 同席メンバーからのフィードバックを積極的に受け取ることで、議事録の質を高めることができます。
5.2 書き方と表現の統一感確認
議事録は複数の人が参照する文書であるため、表現の統一感や文体の一貫性が求められます。
- 文体の統一: 敬体や常体を一貫して使用することで、読む人が混乱しないようにします。
- 専門用語の定義: 会議中に使用された専門用語や略語は、初めて議事録を読む人にもわかるように定義や解説を付け加えましょう。
- 書式の統一: 見出しのレベルやリストの表記方法、数字の書き方など、細部まで統一感を持たせることで、全体としての読みやすさを向上させることができます。
5.3 認識の齟齬を避けるためのチェックポイント
会議の結果を元に行われるアクションやタスクは、議事録に基づいて進められることが多いです。そのため、認識の齟齬が生じると、業務の進行に大きな支障をきたす可能性があります。
- 意見の整理: 議論の過程で出た複数の意見を、結論としてどのように取りまとめたのかを明確に記述します。
- 決定事項の明記: 会議での決定事項やアクションアイテムをはっきりと記載し、担当者や期限もしっかりと明記します。
- 未決事項のリストアップ: 会議内で完全に決まらなかった事項や、後日検討が必要な点をリストアップすることで、後のフォローアップがスムーズに行えます。