1. ファシリテーションとは何か

1.1 ファシリテーションの定義

ファシリテーションとは、英語の’facilitate’から来ており、「円滑に進める」や「楽にする」といった意味を含んでいます。

ビジネスの場では、会議やディスカッションを効率的かつ円滑に進めるための技術や役割を指すことが多いです。具体的には、参加者全員が意見を出しやすい環境を整えたり、議論をうまく進行・整理する役割を果たします。

1.2 ファシリテーションの重要性

会議の生産性を向上させるためには、ファシリテーションが不可欠です。皆さんが経験したことがあるかもしれませんが、会議がぐだぐだと時間だけが過ぎてしまい、結果が出ないことはよくあります。

しかし、進行役（ファシリテーター）を明確にし進行権限を一任すること、会議の目的に沿った議論を進めやすくなり、具体的な結果を得ることが可能となります。

1.3 進行役（ファシリテーター）の具体的な役割

進行役の役割は、会議の進行とディスカッションの質を向上させることです。具体的なアクションとしては以下の通りです。

• 会議の目的の設定
• アジェンダの策定
• 議論の進行・整理
• 会議の雰囲気作り
• 時間管理

進行役は、参加者全員が意見を出しやすい環境を作り、意見のバランスを保ちながら、会議が目標に向かって進行するように導きます。

1.4 行動項目の実行責任者の事前確認

会議を終えても、具体的なアクションが決まらず、何も進展しないことは避けたいものです。そのためにも、会議中に決定した行動項目の実行責任者は、会議終了前に必ず確認しておきましょう。

この事前確認は進行役の重要な役割の一つであり、実行責任者が自分のタスクを理解していることを確認することで、アクションの進展を保証します。

2. 会議でのディスカッションを活性化する方法

2.1 参加者の意見を引き出すオープンエンデッドな質問

オープンエンデッドな質問とは、具体的な答えが予想できないような質問のことを指します。この質問法は、参加者が自分の考えを自由に表現できるようにするために有効です。

「あなたはどう思いますか？」
「その問題を解決するためには何が必要だと思いますか？」

こうした、Yes／No形式ではない、具体的な答えがない質問をすることで、参加者が自由に意見を述べることが可能となります。

2.2 小グループでのブレーンストーミング

大人数の会議で全員の意見を引き出すのは難しいものです。そこで、参加者を小グループに分けてブレーンストーミングを行うと、全員の意見を引き出すことが可能となります。

各グループでアイデアを出し合い、その後全体で共有することで、多様な意見を集めることができます。また、小グループであれば、発言しにくい参加者も意見を出しやすくなるでしょう。

2.3 参加者の発言を促す

会議では、進行役が積極的に働きかけ、静かな参加者から発言を引き出すことも必要です。

「まだ発言していない人から意見を聞きたいのですが」
「【参加者の氏名】さんはどう思いますか？」

と、直接質問を投げかけることが有効です。これにより、発言しづらい参加者でも自分の意見を述べやすくなるはずです。

以下では、進行役が投げかけるべき具体的な質問の例をご紹介します。

3. 進行役（ファシリテーター）が効果的に使うべき質問の具体例

3.1 会議の目標や期待値を明確化する質問の具体例

会議の目標や期待値を明確にする質問が有効です。これらの質問は参加者が会議の目的を共有し、結果を最大化するのに役立ちます。

「この会議の最終的な目標は何ですか？」
「この会議から何を得たいですか？」

3.2 問題解決を促進する質問の具体例

問題解決のためには、「何が問題なのか」を明確にすることが重要です。以下のような質問が有効です。

「具体的には何が問題となっていますか？」
「その問題が解決すると、どのような状況になると思いますか？」

3.3 クリエイティブなアイデアを刺激する質問の具体例

クリエイティブなアイデアを引き出す質問は、参加者の思考を刺激し、新しい視点を引き出します。

「もし予算や時間の制限がなければ、どのような解決策を考えますか？」
「これまでに試したことのない新しいアプローチは何がありますか？」

3.4 参加者の意見や感想を引き出す質問の具体例

意見や感想を引き出す質問によって、参加者が自分の考えを自由に述べる機会を提供します。

「あなたはどう思いますか？」
「その意見について他の人はどう思いますか？」

3.5 優先順位付けや意思決定を助ける質問の具体例

優先順位を決定する質問は、参加者が最も重要な行動を特定し、決断を下すのに役立ちます。

「もし一つだけ選べるとしたら、何を最優先にしますか？」
「どのアクションが最も大きな影響を与えると思いますか？」

4. 会議の雰囲気作りと参加者のエンゲージメントを向上させる方法

4.1 安心感を生む会議の雰囲気作りの工夫

会議の雰囲気作りは参加者のエンゲージメントに大きく影響します。そのためには、開放的で対話を奨励する雰囲気を作ることが重要です。

「ここでは全ての意見が大切です」
「間違いは学びの一部です」

などと明言することで、参加者が安心感を持ち、自由に発言できる雰囲気を作りましょう。

4.2 参加者同士のコミュニケーションを促進する手法

参加者同士のコミュニケーションを促進するには、小グループでのディスカッションやペアワークを導入するのが有効です。

会議を始める前に、参加者全員が自己紹介をする時間を設けることも、互いの理解を深めるのに役立ちます。

4.3 参加者のモチベーションを向上させるための具体的な取り組み

参加者の会議に対するモチベーションを向上させるためには、

「あなたの意見が大切です」
「あなたのアイデアが解決策に繋がる可能性があります」

といった言葉を用いて、参加者個々人の価値を認識させることが重要です。

また、具体的なアクションや成果に対してポジティブなフィードバックを提供することで、参加者のモチベーションを維持し、エンゲージメントを高めることができます。

5. ディスカッションのまとめとアクションプランの実行

5.1 議論の要点を素早く整理するテクニック

議論の要点を素早く整理するためには、ビジュアル化することが有効です。ホワイトボードやポストイットを用いて、議論の流れや重要なポイントを可視化しましょう。

また、オンラインツールを使うと、遠隔地の参加者とも情報を共有できます。例えば、

• Miro
• figma
• MURAL

といったオンラインのブレーンストーミングツールは、アイデアのビジュアル化に役立ちます。

5.2 具体的なアクションプランの立て方と嫌味のない実行責任者の割り当て方

具体的なアクションプランを策定する際には、SMART原則（具体的、測定可能、達成可能、関連性のある、時間の枠組みを設けた）を用いてタスクを設定しましょう。

また、タスクの割り当ては、押し付けるのではなく、自主性を尊重することが重要です。

「誰がこのタスクを担当しますか？」
「課題解決に向けて、このタスクを率先して引き受けてくださる方はいらっしゃいますか？」

と尋ねることで、参加者が自主的にタスクを引き受ける環境を作りましょう。

5.3 フォローアップと継続的な改善

会議の結果を活かすためには、適切なフォローアップと継続的な改善が必要です。タスクの進行状況を定期的にチェックし、必要に応じてフィードバックを提供しましょう。

会議の終わりには次回の改善点を共有し、参加者全員で評価と改善を行うことが有効です。このように継続的な改善を行うことで、会議の質と生産性を向上させていくのが、進行役の役割です。